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親父の隠れ家

三十路を迎える親父が隠れて勉強を始めました。

ビジネス実務法務検定3級「意思の不存在(意思の欠缺)」とは

ビジネス実務法務検定 法律 資格

ここでは「ビジネス実務法務検定試験3級 公式テキスト【2016年度版】」の索引にある「意思の不存在(意思の欠缺)」の用語について記載しています。

 

 

◆意思の不存在(意思の欠缺)とは

意思の不存在(意思の欠缺)とは、表意者(意思表示をする者)が表示した意思に対する真意を欠いていることをいう。

 

これには心裡留保」「虚偽表示」「錯誤」の3つがある。

 

 

a.心裡留保(しんりりゅうほ)

心裡留保とは、表意者が真意でないことを自分で知りながら意思表示をすることをいう。
例えば、相手方の資力では購入できないと思い、本当は売るつもりがないのに「売る」と言ったところ、相手方が「買う」と言った場合。

 

心裡留保については、表示行為を信用した相手方を保護するべきなので、その意思表示は原則として有効(民法93条本文)。

 

ただし、相手方が表意者の真意でない知っているか、または知らなくても、行為の当時に通常の注意を持ってすれば知ることができた場合には、意思表示は無効となる(民法93条但書)。

 

 

b.虚偽表示

表意者が相手方と通じて(通謀して)行った虚偽の意思表示を虚偽表示という。
すなわち、心裡留保が表意者一人がその気のない意思表示をすることであるのに対し、
虚偽表示は相手方と通じて行う真意でない意思表示である。

 

具体的には経営の悪化した会社経営者が債権者からの追求を逃れるため、財産自体を譲渡する真意はないにもかかわらず、不動産等の財産の名義を合意の上で他人に移し、差押え等を免れるようなことが虚偽表示に当たる。

 

虚偽表示では表意者だけでなく相手方も表示行為に対応した真意がないことを知っているので、相手方を保護する必要はなく、その意思表示は無効となる(民法94条1項)。

 

ただし、虚偽表示であることを知らない第三者に対しては、意思表示が無効であることを主張できない(民法94条2項)。

 

 

c.錯誤による意思表示

表意者が勘違いにより真意とは異なった意思表示をすることを錯誤による意思表示という。
例えば100万円借りるつもりが、誤って1000万円借りる意思表示をしてしてしまった場合の意思表示です。

 

錯誤による意思表示では、真意と実際の表示行為とが異なっていることを表意者自身が
知らないわけなので、表意者を保護する必要がある。
そこで、意思表示の重要な部分について錯誤がある場合(その錯誤がなければ、意思表示をしなかったであろうと思われるような重要な部分に錯誤がある場合)には、その意思表示は無効となる。

 

この重要な部分についての錯誤を「要素の錯誤」という(民法95条本文)。

 

一方、単に契約をした動機について錯誤があった場合は「動機の錯誤」といわれる。
動機の錯誤については、動機が表示され相手方がそのことを知っているときは、法律行為の内容の錯誤となるが、そうでない場合には錯誤無効の主張は認められない。

 

例えば天気予報で雨が降ると言っていたので、デパートで傘を買ったところ、実際には
雨が降らなかった場合。
傘を買ったのは「雨が降ると思った」からだが、これは動機の点で錯誤をしたにすぎず
錯誤無効の主張は認められない。

 

なお、錯誤の原因が表意者の重大な過失にある場合にまで、相手方の犠牲の下で表意者を保護する必要はない。そのため、このような場合には、表意者の側から意思表示が
無効であることを主張できない(民法95条但書)。

 

ただし、インターネットを利用した取引については電子消費者契約法による例外がある。

(※電子消費者契約法については別途書きますのでそちらを参照ください)

 

 


◆瑕疵ある意思表示


他人に欺かれたり、脅されたりして行った意思表示には真意と表示行為との間には不一致はない(意思の欠缺はない)が、効果意思の決定にあたって表意者の自由な判断が歪められている。


このような意思表示を瑕疵ある意思表示といい、「詐欺による意思表示」「強迫による意思表示」の2種類がある。

 


a.詐欺による意思表示

他人に騙されて意思表示をすることを詐欺による意思表示という。
ただ、取引にはある程度の駆引きは付きものであり、その全てが詐欺になるわけではない。

 

詐欺と言えるためには、取引通念上要求される信義に反するような行為であることが必要となる。

 

詐欺による意思表示をした表意者は意思表示を取消すことができる(民法96条1項)。
ただし、この取消しは善意の第三者へ主張することはできない(民法96条3項)。

 


b.強迫による意思表示

他人に害意を示し、恐怖の念を生じさせることを脅迫という。
強迫による意思表示をした表意者は、その意思表示を取消すことができる(民法96条1項)。

 

詐欺による意思表示の場合とは異なり、強迫による意思表示の場合には、善意の第三者に対しても取消しを主張することができる。

 

 


◆意思表示・法律行為とは

意思表示とは一定の権利の発生・変更・消滅(法律効果)を生じさせようとする意思を外部に対して表示する行為をいう。

 

また、意思表示に基づいて、その意思表示通りに法律効果を発生させる行為を法律行為という。

 

契約は、申込みと承諾という2つの意思表示の合致によって成立する法律行為であり
法律行為の典型的なもの。

 

 

引用:

東京商工会議所編 ビジネス実務法務検定試験3級公式テキスト【2016年版】」より