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親父の隠れ家

三十路を迎える親父が隠れて勉強を始めました。

ビジネス実務法務検定3級「遺言」とは

ビジネス実務法務検定 法律 資格

ここでは「ビジネス実務法務検定試験3級 公式テキスト【2016年度版】」の索引にある「遺言」の用語について記載しています。

 

◆遺言とは

被相続人が自己の財産を法律の規定と異なるように残したいと考えることもあり得る。
そこで民法では、被相続人の意思を尊重するという観点から、遺言(「ゆいごん/いごん」)をすることによって各相続人について法定相続人分と異なる相続分を指定することが認められている(民法960条以下)。

 

被相続人が遺言によって自己の財産を処分することを「遺贈(いぞう)」という。
また、相続財産の分割(遺産分割)についても遺言でしていすることができる。
これも被相続人の自由な意思を尊重するためのもの。

 

遺言があれば、まずその内容が優先されるが、遺言があっても形式に何らかの瑕疵があればその遺言は無効となる。この場合、遺産分割(協議・調停・審判)、法定相続となる。


遺言をするには自己の行為の結果を判断できる能力すなわち意思能力があればよく
行為能力は要しない。

 

そこで民法

①未成年者については満15歳に達した者(民法961条)

成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復しているとき、2人以上の医師の立会を受けて(民法973条)

被保佐人・被補助人は常に単独で遺言を作成できるとしている(民法962条)。

なお遺言は、遺言をする者(遺言者)の死亡後に効力が生じるので、遺言者にその意思を確認するのは困難。

 

そこで民法は遺言者の意思を明確にし、遺言に関する紛争を避けるため、法律の定める一定の方式に従った遺言でなければ無効であるとしている(民法967条以下)。

 

 

◆遺言の方式

遺言の方式は大別して、一般的に用いられる普通方式と、遺言者が特殊な状況に置かれている場合の例外的な方法である特別方式に分けることができる。

 

 

◆遺言の種類

a.普通方式(原則)

①自筆証書遺言
②公正証書遺言
③秘密証書遺言


b.特別方式(例外)

①危急時遺言(臨終遺言)
     →一般危急時遺言
     →遭難船舶危急時遺言
②隔絶地遺言
     →伝染病隔絶地遺言
     →船舶隔絶地遺言

 


◆自筆証書遺言

自筆証書遺言は最も簡単な遺言の方式だが、後日の紛争を避けるため、遺言者が遺言書の全文、日付および氏名を自書して、これに押印することが必要(民法968条1項)。
各要件の簡単な説明は以下の通り。


a.全文自書

全文を自書することを要件とした趣旨は、遺言者の意思を明確にするため。したがって遺言者の意思が明確であれば、外国語でも速記でも構わないがワープロ点字は本人が自書したものか否かの判断が困難なので無効。

 


b.日付

日付は遺言作成時の遺言能力を判断するためや複数の遺言が存在した場合の先後関係を
判断するために必要とされる。「還暦を迎えた日」「銀婚式の夜」という記載も、遺言作成日が特定できるので有効。しかし、日付の記載がない場合や単に「吉日」とした場合は無効。

 


c.氏名の自書・押印

遺言者を特定するための要件なので、単に姓または名の自書、ペンネームや芸名などでも遺言の内容などから本人を特定できれば足りる。また、押印は必ずしも実印でなくてもよく、認印や指印でも構わない。

 


d.その他

一通の遺言書が数ページに及ぶ場合、その間に契印(割印)がなかったり、綴じてなかったりしても一通の遺言書と判断できれば有効。

なお、自筆証書に何らかの変更を加えたときは、遺言者がその場所を指示し、変更した旨の付記をしてそこに署名をし、変更の場所に押印することで有効とされている(民法968条2項)。

 

これは通常の加除訂正に関する慣行(文書の欄外に変更の付記をして変更場所と付記場所それぞれに押印する)とは異なっているので注意が必要。

 

自筆証書は、証人などの立ち会いも必要なく、遺言したこと自体を秘密にしておくことができる反面、容易に作成できるため、偽造・変造や隠匿(遺言が存在すると都合が悪い相続人が隠してしまう)等の危険があり、実際上トラブルも多くある。なお、遺言の偽造・変造の防止のため検認制度がある。

 

 

◆公正証書遺言

公正証書遺言は、公証人が公正証書で作成する遺言のこと(民法969条)。
なお、聴覚・視覚・言語障害者が公正証書遺言をする場合、遺言者は公証人および証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、または自書して、口授(こうじゅ)に代えることができ、また公証人は、通訳の通訳または閲覧により読み聞かせに代えることができる(民法969条の2)。

 


◆秘密証書遺言

秘密証書遺言は、まず、遺言内容を記載した証書に遺言者が署名押印をし、これを封筒に入れて封をした上で、遺言書に押印したものと同じ印で封印する。

さらに、この封筒を公証人と2名以上の証人の面前に提出し、自己の遺言書である旨など申述し、公証人が遺言者および証人とともに署名し印を押すことで有効とされる遺言(民法970条1項)。

秘密証書遺言は、遺言内容を秘密にでき、さらに変造等の危険も少ない遺言の方式だが
手続きが煩雑である。

 

 

◆遺言できる事項

どのような事項でも遺言に記載すれば法的な効果が発生する(遺言内容を実現できる)というわけではなく、民法では法定遺言事項として、遺言できる内容が一定のものに制限されている。もっとも民法で規定された事項以外の内容の遺言をしたからといって、
必ずしも遺言自体が無効になるわけではなく、保険金受取人の変更(保険法44条1項、73条1項)や、信託行為(信託法2条2項)も遺言ですることができる。

 

遺言でできる事項は以下の通り。

①子の認知(民法781条2項)

②未成年後見人・後見監督人の指定(民法839条、848条)

③遺贈(民法96条)・定款(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152条)による財産の処分
※定款とは、会社等の社団法人や財団法人の目的・組織・活動などを定めた根本規則、
 またはこれを記載・記録した書面などのことをいう。

④相続人の廃除および廃除の取消しの請求(民法893条、894条)

⑤相続分の指定またはその指定の第三者への委託(民法902条)

⑥遺産分割方法の指定、その指定の第三者への委託(民法908条)

⑦5年以内の遺産分割の禁止(民法908条)

特別受益者の持戻(もちもどし)免除(民法903条)

⑨相続人相互の担保責任の指定(民法914条)

⑩遺言執行者の指定とその指定の委託(民法1006条)

遺留分減殺(いりゅうぶんげんさい)方法の指定(民法1034条)

 


◆遺言の撤回

遺言は被相続人の最終の意思を尊重することを目的としていることから、遺言者は別の遺言を書くこと、あるいは目的財産を破棄することにより理由の如何を問わずに自由に遺言を撤回することができる(民法1002条、1024条)。


なお、民法は2人以上の者が同一の証書で遺言を行うことを禁止している(民法975条)。これは2人以上の者が、1つの遺言を作成すると、複雑な法律関係を生じるだけではなく、それぞれが自由に遺言を撤回することができなくなり、被相続人の最終意思の尊重という遺言の意思に反する。

 


◆遺言の検認

被相続人の死亡後に遺言書を発見した場合、公認証書遺言を除き、家庭裁判所の検認を受けなければならない(民法1004条1項)。これは遺言書の偽造・変造を防止するため。

また、その遺言に封印がしてあれば、家庭裁判所において、相続人またはその代理人立会いの下で開封手続を行わなければならない(民法1004条3項)。

遺言の検認の手続きを怠ったとしても、そのために遺言が当然に無効とはならないが、これを怠った者には遅料の制裁に処せられる(民法1005条)。

 

 

◆遺言の執行

遺言には認知、相続人の廃除、廃除の取消し、遺贈などのように、その内容を実現するために一定の行為や手続が必要なものがある。

 

遺言内容を実現する行為を遺言の執行といい、遺言を執行する者を遺言執行者という。遺言執行者は、遺言者が遺言で指定することができるほか、第三者に委託して遺言執行者を指定することもできる。こうした指定がない場合は家庭裁判所が選任する。

 

 

遺留分とは

例えば、被相続人が数人いる子のうちの一人だけに遺産の残部を相続させる旨の遺言がされ、それが他の法定相続人の期待に反する場合がある。

 

このように一定の財産を承継することができるという法定相続人の期待も十分に
法的保護に値するものであり、また、被相続人死亡後の遺族の生活保障も看過できない。

 

そこで相続財産の一定部分を遺族のために留保する、遺留分制度が定められている。
遺留分の保障を受けることができる者(遺留分権利者)は、被相続人の法定相続人のうち
配偶者と子、孫など(直系卑属という)と直系尊属に限られ、兄弟姉妹は除外されている。遺留分の割合は、相続人の構成によって次のように定められている。


(相続人の構成) (遺留分)
直系尊属のみの場合 3分の1
その他の場合 2分の1


また、遺留分の算定の基礎となる財産には、被相続人が相続開始時に有していた財産のほか、被相続人が指定相続人に生前贈与した価格(ただし相続開始前1年間にしたものもしくは当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したもの。民法1030条)や特別受益も算入して計算される(民法1029条1項、1044条、903条)。

 

ただし「中小企業における経営の承継を円滑化に関する法律」により、中小企業経営者が後継者である推定相続人の1人に自己の事業を承継させるために当該企業の株式等を生前贈与した場合等には

①推定相続人全員の合意
経済産業大臣の確認
家庭裁判所の許可

を経ることによって、当該株式等の価格は遺留分の算定するための財産価格に
算入させないことができる。

 

 

引用:

東京商工会議所編 ビジネス実務法務検定試験3級公式テキスト【2016年版】」より

 

 

余談ですが、高齢化が激しく進行中で、かつ、結婚する人が少なくなってきたこの国において、相続問題は激化するように思っています。

 

結婚していても子供のいない家庭も多いので自身の死後、相続させる人間の選定などに頭を悩ませる人も増えるでしょう。

 

上記にもあるように遺言には様々なルールが存在するので今のうちに正しい遺言の書き方を身に付ける必要がありそうですね。